スペシャル対談:
エビデンスに基づく「水素」の新たな可能性

SPECIAL INTERVIEW

エビデンスに基づく
「水素」の新たな可能性

〜業界初となる、高濃度水素製品実現の舞台裏〜

2019年9月、神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科・徳野 慎一教授と、
弊社経営企画本部ヘルスケア事業推進室長・武田 徹による「高濃度水素製品」開発の経緯について、
対談を実施いたしました。
以前ブームとなった水素水との差異にはじまり「高濃度水素製品」がもたらす効果効能、
今後の展開についての白熱した議論の模様をお届けします。

※役職名は取材当時のものとなります。

THEME 01「高濃度水素製品」開発のきっかけ

武田:
三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI健康経営」とは、従業員・職場の「健康支援」と「働き方改革」を両輪として、健康という視点から、企業の最も大切な財産の一つである「働く人」の活躍を最大化する取り組みです。うつを発病する前にどうにか手を差し伸べられないか?また、うつになりかけの人たちに対するソリューションがほしい、と考えていた頃先生に出会いました。
徳野:
私はイラク戦争に医官として赴任し、海外派遣や災害派遣で傷んだ自衛隊員たちを数多く見てきました。ストレスに関する研究を進めていくうちに、ストレスによるうつ症状が炎症によるものだと考えるようになり、であれば水素がうつ病に効果があるだろうと考えるに至ったわけです。最近ではかなり論文も増えてきましたが、10年前はストレスによるうつ症状が炎症によるものだという考え方はかなり斬新なアイデアでした。
武田:
そこで、当時発売されていた水素水を手に入れて、水素濃度を調べられたんですよね?
徳野:
そうです。驚くことに、ほとんど水素が入っているものがありませんでした。その話を武田さんにしたところ、ぜひ製品化したいと。
武田:
水素がたっぷりと入った製品を作り出し、徳野先生にエビデンスを取っていただく。うつに悩む人たちを救うソリューションを確立し、社会貢献したいとの想いで、開発に着手しました。

THEME 02ストレスのメカニズム

武田:
エネルギーを産出するための副生物として、また喫煙や紫外線などの影響により発生する活性酸素。生命活動を維持する上でその発生を免れることはできませんが、ある程度は体内に存在する抗酸化物質が活性酸素を除去してくれます。
徳野:
ですが、強い酸化力をもつものは過剰に作られてしまうと体の中で様々な弊害を引き起こします。これが酸化ストレスと呼ばれるもので、酸化力が強く、様々な疾患の要因になっていると言われているのが「ヒドロキシラジカル」ですね。
武田:
細胞膜の破壊やDNAの損傷などが起こり、これらが原因となって生活習慣病や老化現象が引き起こされるのでしょうか?
徳野:
その通りです。「ヒドロキシラジカル」による炎症を抑えるものとして、水素に目をつけました。新菱さんと出会い、研究チームを結成して、準備だけでも1年、研究に入ってからは2年が経過しました。現在、ようやく臨床研究にたどりつきました。
武田:
しっかりとエビデンスを取っていただくことで、これまでにない「高濃度水素製品」の販売までこぎつけることができたと思います。
徳野:
これまでのマウスによる研究では、少なくとも免疫系に影響を及ぼしていることは間違いなく、そこから今後ターゲットとすべき疾患群が見えてくると思います。

活性酸素の抑制・酸化ストレスへの水素の効果

◆ ヒドロキシラジカルがもたらす様々な疾患

ヒドロキラジカルが原因で起こる疾患として、血管年齢の上昇、皮膚の老化、皮膚のターンオーバーの低下、肥満、うつ病などが考えられています。どの疾患も生体の基礎となる細胞が強いヒドロキシラジカルの酸化力により酸化されることで衰えたり、死んでしまい、最終的に組織や臓器が正しく機能しなくなり引き起こされます。そのためヒドロキシラジカルを抑制・消去することが非常に重要です。

◆ ヒドロキシラジカルを消去する「水素分子」

2007年、水素分子がヒドロキシラジカルを選択的に消去できることが報告されました(注)。 以降、様々な大学や研究機関が分子状水素の研究に取り組み、顕著な疾患の予防・治療効果が報告されています。

(注)Ohsawa et al, Nature Medicine volume 13, Number 6, JUNE 2007

THEME 03「高濃度水素製品」開発のヒントと
保存安定性について

武田:
先生のお話から水素に関する論文を読み、我々も水素水をひと月飲み続けたところ疲れやすさが改善され、体調が好転するなど効果を体感することができました。
徳野:
確かに水素の効果は期待できそうだ、と。
武田:
とはいえ水素水の水素濃度は非常に低いため、大量に継続して飲まなくてはなりませんでした。そして最大の懸念は、水素が安定せずすぐに抜けてしまうこと。
徳野:
目指すところは水素を安全に、大量かつイージーに。経口ルートで持っていきたい、というスタートでしたね。
武田:
水素分子って、ものすごく小さいんです。ペットボトルなどに水素水を入れておくと、すぐに成分が抜けてしまいます。
徳野:
以前ブームになった際、問題となった保存安定性ですね。
武田:
アルミボトルやアルミパウチで囲われていれば、水素分子は抜けることはありません。そこで、グミなどの食品で製品化できないものかと先生に相談したところ。
徳野:
いちばん最初のサンプルは、グミを目指したかまぼこのようなもの。マウスが食べてくれなくて苦労しました。
武田:
その次は、そのかまぼこのようなものに水分を含ませるとどうか?など、試行錯誤を繰り返していただきました。食事の代わりにするのか、水の代用品となるのか。また当時、狂牛病やハラル(イスラム)対策として魚の鱗由来のゼラチンを製造検討していました。ゼラチンはすぐに固まってしまうため、製造時に空気の気泡が絡んでしまって抜けないのです。夜の席で「こんなふうに泡が水に溶けてはくれないだろうか…」と、ビールの泡を見つめながら考えていたところ、では、空気の代わりに水素を入れたらどうなるのだろう。そんな話から、水素とゼラチンのようなもの=水素基材が完成。粘性の高い媒体に、水素を均一に封入する技術が可能になりました。
徳野:
そしてたどり着いたのがゼリー状の「高濃度水素製品」だったというわけですね。
武田:
水素水の場合、1L(水素濃度0.4ppmの場合)を持ち歩かなければならないところを新菱開発品「高濃度水素ゼリー(40ppm)」(特許取得済)なら1包(10g)で同量の水素を摂取することができます。水素分子自体は水素水の数十倍入っており、常温で約1年水素濃度が保持されていることが実証されています。
徳野:
また肺から吸う水素ガスにはエビデンスがありますが、携帯型の水素ガス発生器は高額かつエビデンスが見当たりません。以前の水素水で問題となったように本当に水素が入っているのかということから検証が必要です。
武田:
高濃度水素ゼリー」は、水素が本当に入っていることが化学的分析(ガスクロマトグラフィー)によって証明されています。見た目にも「水素の気泡」が見えますし、食べるとシュワっとした食感が感じられます。携帯しても壊れないですし、一度にたくさん水素が摂れます。TPOを選ばずに気軽に水素が補給できる、新菱が開発した、世界初、全く新しいタイプの「食べる事ができる水素」なんです。

THEME 04今後の製品展開について

徳野:
私は音声でストレスを評価するという研究を長年続けていますが、声でストレスを検知し、次の有効なステップとして何を提案できるのか。ストレスが加わると白血球が出す化学物質が変化するということを長年研究してきました。これらの研究から、ストレスが加わると炎症反応が惹起されることは明らかです。水素が抗酸化作用を持つのでストレスによるうつ症状が改善されるだろうと推測できます。水素の効能に関してエビデンスのあるものを確立し、うつや認知症改善に向けたストレス緩和の機能性食品開発という最終着地点のためにも、ポジティブなイメージでの展開を願っています。
武田:
現在、機能性食品表示の取得を視野に入れた開発も考えています。
徳野:
日本初となる、水素製品の認可を受けられるのではないかと思います。酸化還元のマーカーや、マウスから人への再現性など学術的な追求を続けることが大切ですね。
武田:
ゼラチンや増粘性多糖類、水溶性高分子などのマトリックスに、水素気泡を均一に保持させる技術を開発したことにより、様々な材料と水素を組み合わせるノウハウを確立しました。たとえばエラスチン、コラーゲン、オメガ3脂肪酸など水素と相性の良いものを加味できるのも強みです。
徳野:
化粧品への応用展開がしやすい素材でもあります。
武田:
まずは美容系水素ゼリー、スポーツニュートリション系水素ゼリーが10月から販売になり、将来的には化粧品やトリートメントなどといったものにも展開していければと考えています。先生は、具体的にどういった製品が実現可能と思われますか?
徳野:
たとえばですが、髪のパーマも染色も酸化の一種。水素は還元作用のある物質なので、ストレートパーマに応用するのは良さそうですね。選択的に活性酵素を還元するため、根本的な原因にアプローチをすることで効果を発揮するというエビデンスを確立すれば抗うつ、認知症防止ゼリーの実現も夢ではありません。
武田:
私たちの作り出す製品が社会のために役立ち、人々の健康美へ総合的にアプローチするために、今後とも徳野先生にご協力いただきたく思います。本日はどうもありがとうございました。

PROFILE

Shinichi Tokuno

徳野 慎一

東京大学 大学院 医学系研究科 特任准教授を経て、現在は神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科教授。防衛医科大学元医官として、自衛隊員のメンタル問題を研究。声からメンタルの特徴を解析し、その病態を知る「音声病態分析学」の第一人者。

Tooru Takeda

武田 徹

株式会社新菱 経営企画本部 ヘルスケア事業推進室 室長。 東京工業大学卒業、同大学大学院修了後、化学メーカー、化粧品メーカーを経て、2004年 株式会社 新菱に入社。入社後は主に新規事業創出に従事し、機能材料「SRCL」、「SR-エラスチン」や、「高濃度水素製品」等の新菱オリジナル製品の開発、上市に携わる。

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